墨をするのは、何のため?
「墨汁があるのに、なぜ墨をするんですか?」
おとなコースの初回で、よく聞かれます。正直に言うと、墨汁でも字は書けます。それでも教室で墨をする理由は2つあります。
1. 濃さを自分で決められる

墨汁は、誰が使っても同じ濃さです。すった墨は、水の量とする時間で濃さが変わります。
楷書はやや濃く、かなは薄く。同じ字でも、濃さで印象がまったく違います。自分で濃さを決められることは、自分の字を決めることの第一歩です。
2. 5分間、静かになる
墨をするのに、だいたい5分かかります。この5分、できることは墨をすることだけです。
スマホを見ない。話さない。硯の上で、同じ動きを繰り返す。
この5分があるから、その後の30分の集中が全然違います。仕事帰りの生徒さんが「墨をすっている間に頭が切り替わる」と言うのは、本当にそのとおりだと思います。
墨のすり方
- 1
硯に水を入れる
小さじ1杯くらい。少なく感じますが、足りなければ後で足せます。
- 2
軽く、ゆっくり、円を描く
力は要りません。墨を立てて、硯の面に軽く当てて、ゆっくり円を描きます。
- 3
色を見る
筆先に少し付けて、半紙の端に線を引きます。黒くつやがあればできあがり。灰色なら、もう少し。
墨汁を使う場面
こどもコースの低学年と、大きな作品を書くときは墨汁を使います。無理に全部すらなくて大丈夫です。
次回は「筆の洗い方」について書きます。筆は、洗い方で寿命が3倍変わります。